『バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか』
ジョージ・S・クレイソン●著
大島 豊●訳
グスコー出版
本の帯に
不滅の名著!
読了後のあなたは、すでに資産家への第一歩を踏み出し、幸福を共有するための知恵を確実に身につけていることだろう。
と書いてあるほど、資産形成における考え方が詰まった1冊と言える本です。
投資や資産形成を始めるにあたり、お金の基礎教養を学べる本として、オススメされていたので、読んでみました。
概要と要約
まず、この本の大きさをご紹介させてください。
ハードカバーで、B6とA5の間のサイズです。250ページほどあり、ずっしり重みがあります。
参考になるか不安ですが、持っているコミック「鬼滅の刃 1巻」と比較してみました。大きさのイメージが伝わるでしょうか?
重さを測ってみたところハードカバーであることもあり、コミックと比べると重さは3倍近くです。
厚みも比べてみると、ほぼ倍です。しっかりと厚みがあります。
概要
この本はお金の基礎であり、既になんらかの投資経験がある方にとっては、当たり前だったり、少し物足りない内容かもしれません。ただ、ここに出てくる財産を築く原則や黄金の七つの知恵を意識して実践していくことで、少しずつでも生活が変わっていくのではないかと思わせてくれます。
古代都市バビロンが舞台となっており、読み物として面白く、スラスラ読める内容でした。タイトルから歴史書みたいなものを想像していましたが、舞台がバビロンでなくとも成立する、お金に対する考え方を学べる短編のエピソードが複数集められています。
バビロンのお金持ちが、自分が財産を築くためのきっかけとなった出来事、教訓や金言等をこれから人生を歩む若者やお金に困っている人はのアドバイスとして話すという構成になっています。
もともと、著者のジョージ・S・クレイソンが古代都市バビロンを背景とした人生哲学的寓話をパンフレットの形式で発行したものでした。その後、広く知られるようになったので一冊の本として刊行されたのが、この「バビロンの大富豪」です。
要約
ざっくりと分類すると、この本には次の3点について書かれています。
- お金の貯め方・増やし方
- チャンスの掴み方
- お金の守り方
それぞれについて、簡単にご紹介します。
お金の貯め方、増やし方
まず、財産を築くための原則、富をもたらす黄金の「七つの知恵」として、お金の貯め方や増やし方が紹介されています。
財産を築くための原則とは、
稼いだものは、すべてその一部を自分のものとして取っておく
バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか
黄金の「七つの知恵」は
【黄金の「七つの知恵」】
第一の知恵 ー 財布を太らせることから始めよう
バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか
第二の知恵 ー 自分の欲求と必要経費とを混同するべからず
第三の知恵 ー 貯めた資金は寝かさずに増やすべし
第四の知恵 ー 損失という災難から貴重な財産を死守すべし
第五の知恵 ー 自分の住まいを持つことは、有益な投資と心得よ
第六の知恵 ー 将来の保障を確実にすべく、今から資金準備に取りかかるべし
第七の知恵 ー 明確な目的に向かって、自己能力と技量を高め、よく学び、自尊心を持って行動すべし
財産の守り方についての内容も含まれていますが、収入は全て使わずに貯蓄することや、貯めた財産を運用することについて書かれています。
他にも「五つの黄金法則」というものが出てきますが、内容は財産を築くための原則や黄金の七つの知恵とよく似ています。収入の十分の一を貯めると黄金は増えていくや、騙されてお金を失うことへの注意喚起がされています。
さらに、この原則・知恵は現代でも十分に活用できるといった例も書かれています。
幸運の引寄せ方
こちらは、他の内容よりもページ数は少ないですが、幸運の女神は優柔不断な人間を待ってはくれない。として、常に行動して、与えられたチャンスを活かすことが大事とされています。
「幸運の女神」は行動する人間にしか微笑まない。
幸運を呼び込むには、与えられたチャンスを活かすことが必要だ
幸運はチャンスを掴むことによって誘い込むことができる。
バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか
お金の守り方
先ほど書いたように、黄金の「七つの知恵」や「五つの黄金法則」の一部にある内容です。
投資する場合は扱いに長けた人の忠告のもとに行うことだったり、自分のよく知らないものや、詳しい人が認めない商売や目的に使うとお金は逃げていくといった教訓が紹介されています。
また、急に大金を得た者が、金貸しを職業としている友人に相談するという形式で、お金の守り方についての考え方が示されています。
勉強になったこと
お金持ちになりたい、働きたくない、借金を返済したい(そして、奴隷から抜け出したい)といった現代にも通じるリアル?な悩みをもつ若者がいて、お金持ちのアドバイスを聞き実践したことで、今より良い生活を送ることができるようになったという流れが多いです。
アドバイスを聞いた後は、すぐに達成したところに話が飛ぶので、達成までのプロセスや苦労についてはほとんど書いてありません。物語なので、仕方ありませんがどんなことをしたのか、つまづいた話や苦労した話も知りたいと感じました。
現実世界では、この解決方法に対する答えは十人十色で、かかる時間も人それぞれでしょう。自分で考えて行動することの重要性は十分に理解できました。
財産を築く原則や黄金の七つの知恵については、現代においても十分に役立つ内容であり、この通りに実践できればとても再現性の高い方法だと思います。
この本を読むと当たり前に感じる内容が多くあります。ほとんど意識せずに行っていることもありましたが、忠実に実践するのは難しいことも含まれています。
少しずつでも行動してみることが大事だと改めて気付かされました。
印象に残ったこと
「自ら稼いだ資金の運用は、こうして決める」と題した章で、ニネヴェの百姓の話、が登場します。
仕事が辛いという牡牛くんに、仕事を一日休む方法を教えてあげた友達のロバがいます。翌日、牡牛くんが仕事ができないとわかると、飼い主はロバに牡牛くんの仕事をさせたのでものすごく疲れてしまい、失敗だったと気づく。といったお話です。
全くの善意からしたことなのに、面倒に巻き込まれることだって起きる。
友人を助けたいと思ったら、相手の負担が自分の方にかからないようにやる
バビロンの大富豪 「繁栄と富と幸福」はいかにして築かれるのか
お金を守るためには、慎重に判断することが求められますが、相手の負担を自分が被ることを納得して助けることもあるかなと考えてしまいました。お金だけではなく、単純に友人関係や職場関係を考えた場合、ここまできっちり相手の負担を被らないように立ち振る舞うのは、どこか冷たい印象を持ちます。お金を守ることを題材にしているので、考え過ぎかとは思いますが、情けは人のためならずのことわざとのギャップを考えさせられた部分でした。
ビジネスや投資では慎重な判断が必要ですが、戻ってこないことを承知でお金を貸す。古い友達であれば、自分の余裕の範囲内であれば、と条件をつけて私なら貸してしまうのだろうと考えてしまいました。
お金を貸して、返済できなければ、その友達との関係も終わってしまうことは予想できますし、何より私にそんな話をしてくる友達がいないことを願うばかりです。
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